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OBの語り2 坊向敏和様(平11卒)

 春日丘高校を卒業して、はや3年の月日が流れました。卒業後、同志社大学に入学し、同志社グリークラブにて多忙な生活を送ってきました。現在、私は合唱活動を続けてきたことで様々な経験と知識を得られたことにとても満足しています。
 私は元々、体育会系の人間でしたので音楽に対しては全くの素人でした。そんな自分が音楽部から勧誘を受け、嫌々ながらも音楽室に行き、その雰囲気に心地よさを感じたのがことの発端です。そして、2年次に指揮者という重役を務めることになったのです。
 高校時代に指揮者を務めている時、自分には音楽を楽しむ余裕などなく、部員に満足感を与えるだけの技量も持ち合わせていませんでした。そんな中、諸先輩方、諸先生方から様々なご指導を受けたのですが正直なところ満足に理解もできていませんでした。しかしこの役職を全うせねばクラブが成り立たない、という責任感で自分を奮い立たせていました。
 自分の能力が役職に追いついていない状況でありましたので、2年次の定演を終えた時も大きな達成感はあったにせよ、言い知れない違和感が残りました。その違和感の答えを見つけるためにも合唱を続けようと思ったことも同志社グリークラブに入部した動機の一つです。
 大学に入学し、脇目も振らず、同志社グリークラブに入部しました。同志社グリークラブと春日丘高校音楽部との組織はいろんな面で大きく違っているのですが、継続してクラブを示唆する先生がいないところが一番の相違です。そのため、執行の学年の統率力が問われるわけです。通常、4回生となり執行の学年となった時には大きな責任を背負うことで得てして柔軟な考えが持てなくなってしまいがちです。自分もそうなってしまわないかと不安感もありましたが、実際には音楽部時代の経験からそれほどの戸惑いも無く、執行を引き継ぐことができました。この時、やっと音楽部時代の諸先輩、諸先生方のご助言の意味を自分なりに理解できた気がしました。
 現在、大学合唱界の中にいて、様々な学生と出会いますがこれほど高い組織力と統率力を養える高校クラブはないと感じます。音楽部の幅広く、密度の濃いクラブ活動は個人の自立と組織の調和を育てます。
 一つ残念なことは音楽部に所属していても卒業後にクラブやサークル等に属していない部員が少なくないという事実です。音楽部の活動を終えた時に抱いている気持ちは十人十色です。満足に満ち溢れたもの大きな達成感を抱いたもの、やりきれない気持ちが残ったもの……。どんな気持ちを抱いたにせよそれで終わりにしてしまったら、自分の中に蓄積された経験がもったいないように思います。
 忙しくしている時にはなかなかそのものの良さを見出せないもので、その時は息切れしてしまうこともあるかもしれませんが、それからもう一度、自分が全力を尽くせるものを見つけることは高校時代に一生懸命だった自分を客観視できます。そして、その時にもう一回り大きくなれると思います。
 今、思うと偶然の出会いから始まった合唱道ですが、この年輪は自分の人生の大きな一部分となっています。